ゲーム人生

　4年間勤めた前職。それに就いたきっかけを作ってくれた10年来の友人が、仕事を辞めて、遠い実家へ帰った。
　長い間、同じ道を志し、苦楽を共にした仲で、学生時代から適度な距離感を保ちつつ、友人関係が続いていた相手だった。それだけに自分の人生の中でもかなり大きな存在だ。
　そんな友人Mが、関東で過ごす最後の日、我が家に泊まりに来てくれた。仕事そっちのけで、徹夜でダラダラと飲み食いして過ごした。これといって特別な会話はなかったが、それがかえって、若かったあの頃と変わらない何かを確かめ合えたような気がした。

　最後、東京駅まで見送り。
　ここでようやく、なかなか言い出せなかったありがとうの言葉を言えた。
　俺はもうこの業界には戻ってこない、とのヤツの発言に、自分はもうちょっと居座るとの返答をしつつ、握手を交わした。
　そしてヤツは帰った。
　握手してからヤツが去った後、とにかく涙腺がゆるみっぱなしだったので、行きつけの喫茶店に逃げ込む。
　昔と変わらぬ店内を見回し、窓際の席へ。心を落ち着かせるべく、いつもの上等なコーヒーをオーダーしつつ一服……。これほど煙草がありがたいと思った瞬間は無かったな。

　学生時代〜仕事と、ヤツには長い間ホントに世話になった。
　……これで改めて、辞めた前職の区切りがついた気がした。
　あとは、また邁進するのみ。
　仕事に、遊びに、まだまだ人生を謳歌するぜ。

――――――

　ネットをはじめとして、連絡手段が発達した現代ですが、今後会う機会があるかどうか……という相手だけに、誠心誠意をもってヤツを送り出したつもり。連絡するだけだったら、電話なりSNSなりですぐに出来るんですけどね。今回は特別でした。
　学生時代、ヤツから、世界一素晴らしいゲーム「マジック：ザ・ギャザリング」を教わり、自分のマジック人生が始まったので、ミクシでなく、こちらに日記を書いてみました。……ミク友にヤツ本人がいたりするので、照れ隠しなところが大きかったりもするんですが。
　さあデッキを組むか。